Decision Matrix:無料の重み付けスコアリングツール
数値スケールやレターグレードで重み付け基準と複数の選択肢を比較。スコア自動計算、色分けセル、CSVエクスポート対応。
Decision Matrix とは?
Decision Matrix は、自分で定義した基準に対して複数の選択肢を比較する重み付けスコアリングツールです。アパート、転職オファー、ホスティングプロバイダーなど、二〜三つの本気の選択肢で迷ったときには必ず開いています。トレードオフをグリッドに書き出すと、「自分にとって本当に重要な要素は何か」を正直に向き合わざるを得なくなるからです。各基準は独自の重みと独自のスケール(X/10 のような数値、または A+ から F のレターグレード)を持ち、入力するそばから選択肢ごとに重み付けされた最終スコアが計算されます。スコアが低いとセルは赤、高いと緑に変わるので、マトリクス全体を一目で把握できます。
主な機能
- 重み付け基準 — 各行に 1〜999 の Weight 値があります。重みは自動的に合計に対する%へ換算され、各重みセルの下に小さく表示されます。
- 基準ごとのスケール種別 — 各基準は独自にスケールを選びます。Numeric(最大値を 1〜1000 で設定可)または Letter Grade(A+ 〜 F)です。
- レターグレード対応 — 行に Letter Grade を選ぶと、スコアセルが A+, A, A-, B+, B, B-, C+, C, C-, D+, D, D-, F のドロップダウンになります。文字は内部的に 1.0(A+)〜 0.0(F)の値にマップされます。
- 色分けセル — セル背景は赤(最悪)から橙、深緑(最良)まで遷移し、値の変更に合わせてリアルタイムに更新されます。空のセルは透明のままです。
- 出力形式トグル — Final Score 行を Numeric Score(0-100)と Letter Grade(A+ 〜 F)で切り替えできます。内部計算は同じで、表示だけ変わります。
- 列ノート — 選択肢名の横の付箋アイコンをクリックすると、その選択肢に関する長めの考察(メリット、デメリット、セルに収まらない情報)を残せます。
- セルノート — 各スコアセルにも付箋アイコンがあり、特定の値の理由を記述できます(「契約期間のため 7/10」など)。
- CSV エクスポート — マトリクス全体(基準名、重み、スケール、スコア、Final Score 行)を
decision-matrix.csvとして書き出します。CSV は Supporter 向け機能です。 - プレーンテキスト/Markdown 表としてコピー — ターミナルやプレーンメール用の固定幅テキスト表、または GitHub・Notion・チャット用の Markdown 表を取得できます。Markdown は Supporter 向け機能です。
- ブラウザストレージへの自動保存 — マトリクス全体は編集のたびに
localStorageに保存されます。タブを閉じて翌日戻ってきても、そのままの状態で復元されます。
Decision Matrix の使い方
Step 1:基準(行)を追加する
ツールは空の基準行 3 つと選択肢列 2 つの状態で開きます。左側の基準名フィールドをクリックし、評価する観点を入力します(「月額コスト」「通勤時間」など)。設定カードの + Add Criterion ボタンで行を追加できます(最大 20)。各行右の X ボタンで行を削除します。
Step 2:重みとスケールを設定する
Weight 列に各基準の重みを 1〜999 で入力します。入力欄の下の%は重み変更に応じて更新されます。3 行とも重み 1 なら各 33% です。1 つを 3 にすればその行は 60% に跳ね上がります。Scale 列のドロップダウンで Numeric か Letter Grade を選びます。Numeric では右の小さな枠に最大値を入力します(既定 10、X/5 なら 5、X/50 なら 50、最大 1000)。スケール種別を切り替えるとその行のスコアはすべてクリアされます。
Step 3:選択肢(列)を追加する
各選択肢は 1 つの列になります。列上部の入力欄をクリックして名前を入力します(「アパート A」「ベンダー B」「プラン 3」など)。+ Add Option で列を追加できます(最大 15)。右上の X アイコンで列を削除します。選択肢名の横の付箋アイコンをクリックすると Column Notes ダイアログが開きます。
Step 4:各セルにスコアを入れる
マトリクスを進みながらスコアを入力します。Numeric 行は 0 から最大値の間の小数を受け付けます。0-10 行に 7.5、0-50 行に 42 など。Letter Grade 行ではドロップダウンから選びます。入力するとセルの色が赤から緑へ変わり、下の Final Score 行が再計算されます。空のセルはスキップされ、選択肢のスコアを下げないため、当てはまらない基準は空のままで構いません。セル内の小さな付箋アイコンでそのスコアの根拠を残せます。
Step 5:結果を読みエクスポートする
Final Score 行は各選択肢の重み付け平均を表示します。既定では 0-100 の数値、Output Format を Letter Grade に切り替えれば A+〜F が表示されます。アクションカードには 5 つのボタンがあります。Copy Result(順位付きリスト)、Copy as Plain Table(固定幅テキスト)、Copy as Markdown(Supporter)、Export CSV(Supporter)、Clear。
実用例
転職オファーを 2 つ比較する
オファーを 5 つの観点で比較するとします。基準を給与(重み 4)、エクイティ(重み 2)、通勤(重み 3)、働き方(重み 3)、マネージャー(重み 5)にして、すべて Numeric 0-10 とします。オファー A は 8、6、4、9、7、オファー B は 9、4、9、6、5 でスコアを入れます。最終スコアは A が約 70、B が約 67 になります。差は僅差で、数字が拾えないニュアンスはセルノートで補うのがちょうどいい状況です。
レターグレードでアパート探し
主観の判断は数値より文字のほうが楽な場合があります。アパート探しなら、立地(重み 5、Letter)、価格(重み 4、Numeric 0-10、高いほど安いという扱い)、間取り(重み 3、Letter)、騒音(重み 2、Letter)と設定します。アパートごとに列を足すと色分けが非常に読みやすくなります。Output Format を Letter Grade にして最終行も A〜F 表示にしましょう。
クラウド事業者 3 社の比較
5 つの基準を選びます。価格、リージョンカバレッジ、コンプライアンス認証、SLA 品質、サポート対応です。ワークロードに合わせて重みを設定し、各事業者を 0-10 で採点します。Markdown エクスポートで得られる表は、Notion ドキュメントや GitHub Issue にそのまま貼って同僚と共有できます。
ヒントとベストプラクティス
重みは最後に設定する。先ではない。 重みを先に決めたくなりますが、まず全基準を重み 1 で並べ、すべて採点してから重みを調整したほうが正直な結果になります。重みを 2 から 5 にして結果が大きく変わるなら、その基準は最初から決定打だったということです。
注釈にはセルノートを使う。 「契約が 6 か月ではなく 12 か月なら 9 だった」というメモ付きの 7 は、3 週間後にただの 7 を見るより遥かに役立ちます。マトリクスはコンテキストを忘れますが、ノートは忘れません。
スケール種別は混ぜていい。 全行が同じスケールでなければならない決まりはありません。主観的な基準(雰囲気、デザイン、相性)は Letter Grade、%は Numeric 0-100、それ以外は Numeric 0-10 が使いやすいです。重み計算は変換を正しく扱います。
高い=良い、で常に通す。 色分けと最終スコアは「大きい値が良い」前提で動きます。減らしたい指標(価格、通勤時間、エラー率)なら、低い価格に高いスコアを与えるよう逆向きにします。そうしないと色が反転します。
当てはまらないセルは空のままにする。 最終スコアの式は空のセルをスキップし、値があった基準の重みだけで再正規化します。デスクトップ PC で「バッテリー駆動時間」に無理やり点を付けるよりずっと公平です。
よくある問題とトラブルシューティング
行のスケールを変えるとセルの値が消える。 Numeric と Letter Grade の切り替えではその行のスコアがすべてクリアされます。レターグレードのドロップダウンと数値入力は生の値を共有できないためです。両方の見方が必要なら、スケールを変える前に行を複製しましょう。
Final Score が想定よりずっと低い。 スコアは加算ではなく重み付け平均なので、どの単一セルの最大値も超えません。3 セルが 9/10、2 セルが 5/10 なら、平均は 9 を上回ることなくそれらの間に落ち着きます。
列が値ではなく「--」と表示される。 その選択肢のスコアセルがまだ無いか、すべて空です。少なくとも 1 つスコアを入れれば最終スコアが入ります。
数値入力が固まったように感じる。 スコアと重みの入力は blur(フィールドからフォーカスが外れたとき)にだけ反映されます。Tab か別領域クリックで確定します。複数桁を入力中、毎キーストロークで色や最終スコアが再描画されないようにする仕様です。
行や列の追加がブロックされる。 マトリクスは基準 20、選択肢 15 が上限です。それを超えると Add ボタンは無効化され、トーストが出ます。実際には 8〜10 を超えるとマトリクスは読みにくくなるので、上限に当たるなら基準の統合を検討してください。
プライバシーとセキュリティ
Decision Matrix はすべてブラウザ内で動作します。基準名、選択肢名、スコア、ノートは glyph_decision_matrix というキーで localStorage にだけ保存され、サーバーへは何も送信されません。転職オファー、ベンダー価格、個人的な決定など機密性のある選択肢を評価しても、その情報はデバイス上に留まり、ブラウザストレージを消去すると消えます。
よくある質問
重み付けスコアはどう計算されますか?
各セルの値は、その行のスケールを使って 0〜1 の範囲に正規化されます(0-10 の 7 は 0.7、A- は 0.9 など)。正規化値に行の重みを掛け、その選択肢で採点された全行について合計し、採点された行の重みの合計で割ります。空のセルは割る側・割られる側の両方からスキップされます。結果は数値表示なら 100 倍され、Letter Grade 表示ならレターにマップされます。
レターグレードは内部でどの値にマップされますか?
A+ = 1.0, A = 0.95, A- = 0.9, B+ = 0.85, B = 0.8, B- = 0.75, C+ = 0.7, C = 0.65, C- = 0.6, D+ = 0.55, D = 0.5, D- = 0.45, F = 0.0 です。Output Format が Letter Grade のときは同じしきい値が逆向きに使われます。
空のセルがスコアを下げないのはなぜですか?
式は値があるセルの重みだけで割っています。当てはまらない行をスキップすることで比較の公平さを保てます。空のセルをゼロ扱いにしたい場合は明示的に 0 を入力してください。それは「スコアなし」ではなく「ゼロと採点した」と解釈されます。
Copy Result、Copy as Plain Table、Copy as Markdown の違いは?
Copy Result は順位付きリスト(#1 Option A: 78.5)を出力します。Copy as Plain Table は各基準と Final Score 行を含む固定幅テキスト表を出力します。プレーンテキストのメールやターミナル向きです。Copy as Markdown は | col | col | の Markdown 表を出力し、GitHub、Notion、Markdown エディタにそのまま貼れます。Markdown コピーと CSV エクスポートは Supporter 機能です。
別々のマトリクスを複数保存できますか?
はい。マトリクスは変更のたびに localStorage に自動保存されるので、閉じて再度開けば復元されます。複数の決定をまたいで名前付き保存したい場合は、マトリクス下の Presets パネルで現在の状態に名前を付けて保存できます(Presets は Supporter 機能)。
他の人とマトリクスを共有できますか?
マトリクスのデータはあなたのブラウザにしか存在しません。共有するには Copy as Markdown か Export CSV(Supporter)を使い、貼り付けるかファイルを送ります。受け取った人があなたのライブマトリクスをブラウザから編集することはできません。
取り消し(undo)はありますか?
マトリクス自体に undo ボタンはありませんが、マトリクス下の History パネルが重要な変更ごとにスナップショットを残します。エントリをクリックするとその状態に復元します。History は Supporter 機能です。
マトリクスの最大サイズは?
基準(行)20、選択肢(列)15、つまりスコアセルは最大 300 と全ノートです。
Numeric スケールが 1000 で頭打ちなのはなぜですか?
1000 を超えるとスケールは扱いづらくなります。タイプ量が増え、%あたりの分解能が下がります。さらに細かい/大きいスケールが必要なら、入力前に値側を自分でスケールしてください。
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